家事事件

家事事件というと、どのようなイメージがおありでしょうか。一番典型的なパターンは、夫婦間でトラブルが起こった結果、もう結婚生活を継続していくことは難しいと感じ、離婚することを求める、といったタイプかと思います。離婚のように、ご自身の家族関係に関する問題の解決を図るのが家事事件になります。別のページにてご説明している成年後見の問題や相続の問題もまた、この家事事件に含まれることになります。

弁護士にご依頼なさる家事事件としてはこの離婚問題が一番多いことになりますが、その他にも養親子関係の問題や扶養関係の問題、氏の変更の問題もまた家事事件として取り扱われることになります。

家事事件を大きく分けると、相手方がいる場合と相手方がいない場合とに分かれます。結婚している相手と離婚したい、養子縁組をしたが離縁をしたいといった場合は相手方がいる場合にあたり、自身の親が認知症により十分に意思表示をすることができなくなってしまったため親に成年後見人を付したいなどといった場合は相手方がいない場合にあたります。このように相手方がいる場合と相手方がいない場合では、基本的に、取らなければならない手続が変わってきます。

相手方がいる家事事件、一般的に考えられる家事事件のほとんどがこちらにあたると思いますが、このような事件においては一般的にまず調停と呼ばれる手続を経なければなりません。これに対し、相手方がいない家事事件においては一般的に調停と呼ばれる手続を経る必要はないことになります。

調停とは?

このように家事事件は、自身の主張を裁判所に認めてもらうにあたり、大きく言えば相手方がいる場合といない場合で手続が分かれることになります。裁判所に離婚することを認めてもらいたい場合、勿論離婚する相手方がいることになりますし、養子縁組をしたけど離縁したいという場合には、離縁したい相手方がいることになります。相続問題のページでもお話しますが、遺産分割協議で問題となり裁判所の判断を仰ぎたい場合という場合にも、他の相続人という相手方がいることになります。このように、家事事件において相手方がいる場合には、たとえば交通事故事件における損害賠償請求をする場合のようにいきなり裁判を起こすことはできません。また、相手方がいない家事事件のようにいきなり審判を申し立てることはできません。まず、調停という手続を経なければならないことになります。

調停という言葉を聞いたことがある方は多いかと思いますが、この調停とは、要するに話し合い、と考えていただければ宜しいかと思います。家族関係の問題については、いきなり裁判所が白か黒かを判断するよりも、まずは裁判所も間に入った上で話し合いをさせて解決することができるのであれば解決した方が妥当である、という考えに基づき、法律上、まず調停を行うものとされています。

具体的に調停がどのようにして行われるかというと、事案にもよりますが、基本的に当事者の一方が調停室という応接室に入り調停委員と呼ばれる人に対し、自分の要求したいことや主張したい事実について話をすることになります。一方当事者の話が終わった後、他方の当事者が調停室に呼ばれ、同様に調停委員に対し、自分の要求したいことや主張したい事実について話をすることになります。このように、話し合いとはいえども双方当事者が膝を突き合わせて話をするわけではなく、交互に調停委員に対して話をしていくので、相手方のいる前で自分の要求したいことや主張する事実について話をすることはありません。最終的に話し合いがまとまる場合(これを調停成立といいます。)には双方当事者が立会いの下で合意した内容の確認を行うことになるので、その際には相手方と顔を合わせなければなりませんが、それ以外の場合にはこのように交互に調停委員と面接を行いますし、また相手方が面接をしている間の待合室も別に設定されるので、調停成立の場合以外は相手方と顔を合わせることはない、と考えて宜しいかと思います。

このように調停においては、相手方と話すのではなく調停委員に対し自分が要求したいことや主張したい事実を話していくことになりますが、この調停委員とは、裁判官ではありません。たとえば離婚についての話し合いにおいては、裁判官が法律上の話ばかりするよりも、人生経験の豊富な人たちが和やかに話を聞き適切なアドバイスを与える方が話し合いを進展させるのに向いているといった考えがあるので、このように裁判官ではない人たちが調停委員に任命され、調停において話を聞くという仕組みになっています。

調停において話をしていくことは、主に、自分がどのような結論を望んでいるのかということ及びそのような結論を望む理由です。法的に整理されているか否かは裁判とは違いそこまで要求はされませんが、やはりある程度はどうして自分がそのような結論を望むのかについて整理をし、裏付けとなるような証拠に基づき話をした方が望ましいとは言えます。たとえば、夫が浮気をしていたので離婚をしたい、等といった場合は、夫が浮気をしていると考えるに至った原因についてはきちんと説明すべきですし、何かそう考える根拠が書類や物の形で存在するならば、それについては持参した方がよいと言えます。

また離婚を例に挙げて話をしますが、単に離婚といってもそれに付随して慰謝料の請求、財産分与、子どもがいればいずれが親権を持つことにするのか、養育費は月いくらにするのか、面接交渉はどの程度の頻度で行うのか等多岐に渡る事柄について決めていかなければなりません。これらをどのように定めるかについては、事案によって様々です。ある程度の基準は存在していますが、必ずこうしなければならないというルールはありません。慰謝料ひとつを取っても、多額な慰謝料を請求できるケースもあれば、微々たる慰謝料しか請求できないケースも存在します。現在、ご自身で調停を行っている方で、どのような請求をしていけばいいのか分からない、等とお感じになられる方は、ご遠慮なくご相談にお越しください。

審判・訴訟

話し合いがまとまれば調停成立となり、そのまとまった内容で双方当事者が合意することになります。しかし話し合いがまとまらなかった場合、調停に相手方を呼び出したものの出頭してこなかったような場合には、当然のことながら何の合意もすることはできません。このような場合を調停不調といいます。調停不調となった場合には、もはや話し合いをする/話し合いの機会を設けるなどしても問題解決に至ることはないので、裁判を起こすことができますし、求めている事柄によっては審判に移行することになります。たとえば、離婚調停が不調となれば、その後は家庭裁判所に離婚裁判を提起することになります。裁判においては、法律上その求めている結論が認められる原因があるかどうかについて判断されることになります。当事者は、その原因の有無について、通常の裁判と同様に主張・立証していくことになります。

また、法律上審判において定めるとされている事柄を求めるべく調停を申し立てたが調停不調となった場合には、審判に移行することになります。この審判においては、自身が求めている結論が妥当である旨、主張・立証していくことになります。裁判を行う場合とは、裁判所に出頭しなければならない期日がない場合がある等の違いがあります。

当事務所にご依頼いただく場合

当事務所にご依頼いただく場合には、そもそもまだ調停を起こしていないが調停を起こすことを考えている、といった段階からご相談していただいても構わないですし、既に調停を起こしたものの相手方が弁護士をつけてきたので以降自分自身で自分の主張をしていくことが難しい、という段階からご相談していただいても構いません。既に調停が不調に終わったので裁判を起こしたいがどのようにしたらいいか分からない、などという場合にご相談いただいても構いません。

また、先ほども申し上げたとおり、今後も自分で調停を進めていくつもりだけれど、どのように主張したらいいか分からない、慰謝料や養育費をいくら請求していいのか分からないなどといった場合であってもお気軽にご相談ください。