相続の問題

どんなに資産を持っている方であっても、資産を持っていない方であっても,死を避けることはできません。死は,誰に対しても平等に訪れます。

お亡くなりになられた方が資産を持っている場合,相続の問題が発生します。特に今まで以上に高齢化が進む今後,相続の問題でお困りになられる方はさらに増加することが見込まれます。

相続の問題で弁護士事務所にいらっしゃる方の類型は、概ね2つに分けることができます。

相続人の方々からご相談をいただくケース

まず第一は、ご親族が亡くなられたため、相続人となった方からのご相談です。それまではきょうだいとして仲良く過ごしてきたのに、親御さんが亡くなったことにより相続が発生した途端、それまでとまったく異なり険悪な関係になってしまったなどということは、あまり考えたくないことではありますが、頻繁に耳にする話です。

このような場合、お亡くなりになられた方の遺言書が残っていないのであれば、相続人間で遺産分割協議を行うことになります。遺産分割協議とは、お亡くなりになられた方が残された財産を、相続人間でどのように分割するか話し合うことをいいます。遺産分割協議が成立すれば、遺産分割協議書を作成し、預金がある場合には金融機関、不動産がある場合には法務局に提出するなどして、それぞれに分割することになります。また、遺産分割協議書の作成にあたっては、きちんと相続人全員の間で話し合いが行われたことの証明を求められる場合がほとんどであるところ、お亡くなりになられた方が生まれてからお亡くなりになるまでの戸籍謄本(除籍謄本、原戸籍謄本)を取得し、相続関係図を作成する必要があります。

このように特に問題なく遺産分割協議が整えばいいのですが、どれだけ相続人間で話し合っても主張が平行線のまままとまらない、といった場合の方がより弁護士事務所の門を叩くことになりやすいかと思います。このような場合には、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てを行うことになります。遺産分割調停とは、裁判官、調停委員に、各相続人の間に入ってもらって、裁判所において話し合いをすることをいいます。しかし、このように裁判所に舞台を移しても、やはり話し合いは平行線のまま、となる場合もあります。そのような場合には、遺産分割調停を打ち切り、最終的には裁判所の判断により、どのようにして遺産を分割するか決めることになります。

このような遺産分割協議、遺産分割調停で特に問題となるのは、やはり遺産の分け方です。通常遺産分割協議は、お亡くなりになられた方が亡くなった時点で有していた財産の額を基礎としますが、たとえば相続人の内の一人が長年にわたりお亡くなりになられた方の介護をしてきた、お亡くなりになられた方の家業を手伝ってきたためにそのような財産を形成するに至った、といったような場合にも、お亡くなりになられた方が亡くなった際に有していた財産の額を基礎として分割するのでは不公平ではないか、という問題が出てきます。反対に、たとえば相続人の内の一人に対してお亡くなりになられた方が生前家を買ってあげた、などといった事情がある場合には、やはり、お亡くなりになられた方が亡くなった際に有していた財産の額を基礎として分割するのでは不公平ではないか、という問題が出てきます。これらの場合には、寄与分や特別受益といって、お亡くなりになられた方の財産形成に貢献した分をその貢献をした相続人により多く、お亡くなりになられた方から生前に利益を得た分利益を受けた分をその利益を受けた相続人に少なく分割することになります。しかし、このような特別受益や寄与分の主張を素直に受け入れることはなかなかできないというのが通常であったりします。また、お亡くなりになられた方の相続財産の内容が預貯金、現金の他に不動産があるといった場合には、現金はいらないから不動産が欲しいとか、不動産を売ってその代金を分けようと主張し、分け方そのもので揉める場合もままあります。このような争点について、裁判所に第三者として入ってもらい、解決を図るのが遺産分割調停であり、その後の審判であるということになります。

お亡くなりになられた方が遺言書を残している場合には、その遺言に従って遺産相続が行われることになります。しかし、この遺言書を本当にお亡くなりになられた方が書いたのかどうか疑義がある場合、やはり相続人間で遺産分割の問題が生じることになります。遺言書が実は偽造されたものだと考えられる場合、これを偽造だと主張する相続人は遺言書が無効であることを裁判を起こして主張することになります。また、遺言書の内容として、私の財産のすべてを○○○○(相続人の内の1人)に相続させる、とあるものを見ることも度々あります。このような遺言書であっても真実、お亡くなりになられた方が残したのであるならば有効となります。しかし、相続人の1人1人には、遺留分というものが保障されており、このような遺言書は遺留分を侵害していることになります。遺留分とは、配偶者、子、直系尊属に認められているもので、お亡くなりになられた方がどのような遺言書を残していたとしても相続することができる割合のことをいいます。相続人の1人のみに対し相続させる遺言書は、先ほども述べたように、他の相続人の遺留分を侵害するものであり、遺留分を侵害された相続人は、遺言書でお亡くなりになられた方が自分の全財産を相続させるとした相続人に対し、これを減殺するよう請求することができます。

相続する財産とは何もプラスの財産のみではありません。マイナスの財産、所謂借金に関しても相続することになります。お亡くなりになられた方は資産を持っていたけれども、どうやら借金もある、といった場合どのようにすればよいのか、等といったことでお悩みになられる方も時々いらっしゃいます。このような場合には、お亡くなりになられた方の借金の有無を調査し、借金の方が試算よりも多いような場合には相続放棄を行う、限定承認を行うといった手続を執ることになります。この相続放棄等については、非常に短い期間制限がありますので、ご心配になられたときには直ちにご相談なさることを強くお勧め致します。

被相続人になられる予定の方からご相談をいただくケース

このように相続人の方々からご相談をいただく場合を1番の類型とすると、2番目の類型は被相続人になられる予定の方からご相談をいただく場合になります。先ほどまで述べてきたような、相続人間でのトラブルを避けるため、遺言書を残したいのだがどのようにして書いたらいいのか分からない、遺言書どおりに相続をしてほしいがきちんと相続をしてくれるかどうか不安なので、遺言執行者に就任してほしい等というような場合があります。

当事務所にご依頼いただいた場合

このように一言相続といっても、解決方法はご依頼者様ごと非常に多岐に渡ることになります。したがって、どうしたらいいのか分からない、思っていたように進まない、ちょっとアドバイスが欲しいなどとお考えになったときには直ちにご相談いただければと思います。

ご相談をうかがいながら、ご依頼者様がどのような結論にたどり着きたいのか、どのようにするのが1番ご依頼者様にとって望ましいのかを共に探していきたいと思っております。戸籍謄本を集めるのが大変なのでこれを集めその上で遺産分割協議書を作ってほしい、というご依頼から、遺言書で自分の遺留分を侵害されたので遺留分減殺請求をしてほしいといったご依頼、お亡くなりになられた方に借金があるかどうか分からないのでこれを調べ借金があるならば自分が借金を相続しなくてよいようにしてほしいといったご依頼、さらには遺言書を作ってほしい、遺言書を執行してほしいといったご依頼まで、幅広くお受け致します。