個人民事再生の手続きと流れ

前のページでも述べましたが、個人民事再生とは、債務整理のうち、裁判所に個人民事再生手続開始を申し立て、その手続において裁判所に提出する再生計画案につき裁判所の認可を受け、その後に再生計画案に従い債務の一部を返済していくことにより、残りの部分についての支払いを免除してもらう方法です。以下では、概ねの手続の流れについてご説明します。

横浜地方裁判所、東京地方裁判所に個人民事再生手続の開始を申立てた場合、基本的に、自己破産のように裁判所に出頭する機会はありません。もっとも、東京地方裁判所に申し立てた場合には、必ず個人民事再生委員がつくことになっており、この個人民事再生委員との面談を行わなければならないことになります。また、横浜地方裁判所に申し立てた場合も、事案によっては個人民事再生委員がつくことがあります。この個人民事再生委員がつく場合には、その報酬をご依頼者様が支払わなければならないことになります。なお、申立てをする裁判所はご依頼者様の希望で選べるわけではなく、ご依頼者様の住所を管轄する裁判所に申し立てなければなりません。たとえば、神奈川県横浜市に在住の方であれば横浜地方裁判所に、東京都大田区にお住まいの方であれば東京地方裁判所に申し立てることになります。

申立てをしてからの手続の流れについては、当事務所においてもっとも用いることの多い、小規模個人民事再生手続についてご説明しておりますので、その点ご留意くださいますようお願い致します。

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個人民事再生を行う旨の委任契約を締結します。

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各金融機関に対し、弁護士介入通知(受任通知)の送付・送信します。

これにより、各金融機関はご依頼者様に対し直接、支払うよう督促することができなくなります。個人民事再生はすべての債権者に対する債務について、同一の割合での免除を求めることにより債務を圧縮する手続であり、一般的に弁護士に個人民事再生を委任した時点において個人民事再生をする意思が明確になったと考えられるので、個人民事再生の契約以降は各金融機関に対する借入、返済の一切をストップしていただくことになります。このように返済の一切をストップしていただいても、弁護士介入通知の効果により、各金融機関から督促の手紙・電話が来ることはありません。

なお、住宅ローンを抱えているために個人民事再生手続を選択したご依頼者様については、住宅ローンの支払いのみ継続していただき、それ以外の債務の支払いをストップしていただくことになります。

(注)行き違いのため、場合によっては督促の手紙・電話が来ることはありえないわけではありません。そのような場合にはご一報くださるようお願いいたします。

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2の弁護士介入通知(受任通知)の送付・送信とともに、各金融機関に対し取引履歴の開示を請求します。

開示にまでかかる期間は金融機関ごとにまちまちです。早いところであれば2週間程度で開示されますが、2か月ないし3か月程度かかる場合もままあります。一般的に、貸金業者(サラ金)と比較し、信販会社(所謂カード会社)からの開示には時間が掛るといえます。

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3により開示された取引履歴について、利息制限法所定の利率に従い引直計算を行います。

開示された取引履歴は、全取引期間にわたるものであることが通常ですが、ときどき一部の取引期間のものしか開示されない場合もあります。このような場合には、別途お話を伺わせていただき、その後どのような対応を取るかご依頼者様の意向を踏まえつつ検討することになります。

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4の引直計算をした結果

4の結果、過払金が発生していることが判明した場合

この場合には、各金融機関に対し過払金の返還を求めていくことになります。詳しくは過払金請求の項をご覧ください。

4の結果、債務が残ることが判明した場合

利息制限法所定の利率に従い引直計算をした結果も債務が残る場合、その債務額及び利息制限法所定の利率に従い計算された利息額については、そのままにしておけば全額支払わなければならないことになります。そこで、債務が残ることが判明した場合、その債務の一部について免除されるように申し立てることになります。

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受任以降毎月1回を目処にご面談を行い、書類を集めていきます。

当事務所においては、個人民事再生のご依頼をいただいてから毎月1回程度のペースでご面談を行い、書類を集める、今後の方針について定める、当事務所からご依頼者様に対し進捗状況をご報告するといった進行にさせていただいております。

特に書類については、ご依頼者様に作成ないしはご持参いただかなければならないものが殆どであり、これが集まらない限り裁判所に対する申し立てはできません。ご持参いただく書類としては概ね(A)ご依頼者様の資産関係を証明するもの、(B)ご依頼者様の身分関係を証明するもの、(C)ご依頼者様の生活状況を証明するものに分かれます。

必要となる書類についてはご依頼者様の状況や申立を行う裁判所ごとに異なりますので、詳細はご依頼いただいた際にお伝えいたします。

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面談において債務を負担した原因等についての聞き取りを行います。

4で金融機関より開示された取引履歴、6の面談でいただいた書類のそれぞれが集まり始めてから、これらの書類に基づき、債務を負担するに至った事情や預金通帳の取引明細記載の取引の内容についての聞き取りを行います。ここで伺ったお話に基づき、個人民事再生手続開始申立書を作成していくことになります。

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4、6、7に基づき当事務所で申立書を作成し、裁判所に対し個人民事再生手続き開始申立を行います。

申立ては作成した申立書に基づき行われます。但し、自己破産の場合とは異なり、申立てを行った日から数日内に申立代理人と裁判官とが面接を行う、所謂即日面接方式は採用されておりません。もっとも、申立書の内容について、個人民事再生手続開始決定が下りる以前に、裁判所より問い合わせられることがあります。この裁判所からの問い合わせに回答するべく、ご依頼者様にお話を伺わせていただく場合があります。

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個人民事再生委員がついた場合、個人民事再生委員と面談を行います。

裁判所ごとに運用は異なりますが、個人民事再生手続開始申立を行った場合、個人民事再生委員がつく場合があります。個人民事再生委員とは、裁判所に対し、今後の手続をどのように進めていくかについて意見を述べることをその大きな役割としています。個人民事再生手続は、まず裁判所により手続を開始する決定が出されることによってスタートしますが、個人民事再生委員は手続を開始して構わないかどうかにつき、裁判所に意見を述べることになります。そこで、個人民事再生委員がついた場合は、まず、個人民事再生手続開始決定が出される前に、個人民事再生委員と面談をすることになるのです。

この面談は、裁判所に提出した申立書に基づいて行われることになります。

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裁判所より個人民事再生手続開始決定が出されます。

裁判所の問い合わせに回答した結果、または個人民事再生委員との面談の結果、特に問題がないと認められた場合、裁判所より個人民事再生手続開始決定が出されます。

個人民事再生手続開始決定が出されると、裁判所は債権者に対しその旨の通知を送り、それとともに債権届をするように促します。これに対し当事務所に対しては、申立書時点における再生計画案に基づき支払いを行うことができるかどうか確認するため積み立てを行うように勧告します。これを履行テストといいます。当事務所においては、ご依頼者様に対し、当事務所指定の口座に毎月一定金額をお振り込みいただくという方法でこの履行テストを行います。

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債権者から債権届が提出されます。

10で述べたように、個人民事再生手続開始決定が出されると、裁判所は債権者に対し債権届を行うように促します。これに対し、債権者から債権届が提出されることになります。個人民事再生手続開始決定が出された日までの利息、損害金は法律上認められるところ、債権者からはこの元金にこの利息、損害金を付加した金額が届け出られることが通常です。なお、債権届を行わない債権者もいないわけではありません。

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債権者から提出された債権届を精査し、金額に誤りがあれば異議を出します。

債権者から裁判所に対し債権届が提出されると、裁判所から当事務所に対しその債権届が送られてきます。これを精査し、届け出られた債権額に計算違い、取引途中に発生していた過払金に利息を付していない等の誤りがあれば、異議を出すことになります。この異議に対し、さらに債権者から主張されることもあります。このようにして債権額を固めていくことになりますが、どうしても双方の主張が折り合わない場合には裁判所に対し債権額を決定してもらうように申立てをするということもあります。

また、債権届が出されなければ、申立書に記載した債権額をその債権者の債権額として手続を進めていくことになります。

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12の手続によって固まった債権額に基づき、再生計画案を提出します。

12の手続で各債権者のご依頼者様に対する債権額が固まれば、これに基づいて再生計画案を作成し、裁判所に提出することになります。再生計画案とは、法律の定めに従い債務が圧縮された場合、これをどのようにして支払っていくのか、という計画案をいいます。通常、3年間36回で支払う計画案を提出することになりますが、事情がある場合には5年間60回までであれば支払期間が伸張されることがあります。

この再生計画案とともに、履行テストの結果や財産状況の変化の有無等について当事務所より裁判所に対し報告をします。

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再生計画案が債権者の決議に付されます。

当事務所より裁判所に再生計画案を提出すると、裁判所はこの計画案を認可してよいかどうかを債権者に問うべく、書面決議に付します。

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債権者の過半数の賛成が得られれば、裁判所が再生計画案を認可します。

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15の認可決定が確定します。

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認可決定が確定した翌月より、再生計画案に従った支払を開始します。

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再生計画案に従った支払を完了した暁には、残りの部分の支払いを免除されます。