よくあるご質問

自己破産についてよくあるご質問を掲載しています。

自己破産

破産するとどうなりますか?

自己破産の申立ては自身がそれまでに負担していた借金について支払義務を免除してもらうために行う手続です。したがって、自己破産の申立てを行い、裁判所から免責決定が得られた場合には、それまで負担していた借金を支払う必要がなくなります。もっとも、その申立てをするに際し、借金として申告しなかったもの、具体的には自己破産の申立書に債権者として記載しなかった相手に対する借金については免責されません。またこのように、実際には借金を負っているにもかかわらず、その事実を申立書に記載しなかった場合、その事実が裁判所に自己破産の申立てをしてから免責決定を得るまでの期間に発覚したときには、そもそもの免責決定が得られなくなる可能性があります。ですので、弁護士に対し自己破産を依頼する場合には、金融機関から借りているか個人から借りているか等を問わず、すべての借金を申告するようにしてください。

このように自己破産の申立てをして、免責決定を得た場合、その事実が戸籍謄本や住民票に記載されるのではないか、と心配される方が時々いらっしゃいます。しかし、自己破産をした事実が戸籍謄本や住民票に記載されることはありません。確かに、自己破産の申立てをして免責決定を得た場合、その事実は政府の発行する官報に記載されることになります。業務上、官報を購読するような業種もなくはありませんが、一般的にいえば、自己破産の申立てをし、免責決定を受けたという事実が広く人目に触れることはないといっていいと思います。

また、自己破産をした場合、裁判所から免責決定を受け、それが確定するまでの期間、就くことができない職業があります。具体的には私たちのような弁護士、司法書士といった職業のほか、会社の取締役、保険外交員などが主たるものとして挙げられます。


裁判所へ出廷するのですか?

自己破産の申立てをした際、どのような手続によって申立てから免責決定に至るかは各裁判所によって異なりますが、少なくとも1回は裁判所に出廷することになると考えておいた方がよいかと思います。

代表的な例として、東京地方裁判所における自己破産事件の流れを説明すると、まず、代理人である弁護士による申立てとそこから3日以内における裁判官との面接が行われます。この裁判官との面接において、申し立てた自己破産手続に管財人をつけるかつけないかが決まります。

管財人を選任する場合には、その後管財人による管財業務が行われ、債権者集会が開催されるという流れを辿ります。この債権者集会は、裁判所にある債権者集会場にて行われますが、そこには勿論自己破産を申し立てた方も出頭しなければなりません。

これに対し、管財人を選任しない場合、破産手続はその申立てをした日の夕方に、開始されるとともに終了する旨の決定が出されます。しかしながら、破産手続が終了したとしても、直ちに免責決定がなされるわけではありません。免責決定がなされる前に、免責申尋という手続が行われ、そこで裁判官と自己破産を申し立てた方が面談をし、その結果として免責決定をするかどうか検討する、という流れを辿ります。この免責申尋は、裁判所の法廷で行われますが、そこに出頭しなければならないことになります。

以上のように、東京地方裁判所に自己破産の申立てをした場合には、どちらの手続を辿るとしても、1度は裁判所に出頭しなければならないことになります。

管財人が選任された場合に行われる債権者集会においては、基本的に、管財人が選任されてから債権者集会期日までの間、管財人が行った業務についての報告を聞くことになります。

これに対し、管財人が選任されない場合に行われる免責申尋においては、裁判官から自己破産を申し立てた方に対し、いくつかの質問が行われることになります。質問の内容は、大体の場合において、氏名、住所、本籍地について申立てを行ったときから免責申尋までの間に変更があったかなかったか、というものです。裁判官が免責を認めるにあたりちょっと引っ掛かる、と考えているような事案においては、申立ての内容について質問されることもあります。


ギャンブルで借金をしました、破産はできますか?

ギャンブルをするために借金した、ギャンブルをしたために生活費が足りなくなってこれを補填するために借金をした、などという事情で自己破産をご依頼される方も少なくはありません。このような場合にも破産できるか、ということですが、破産をすることはできます。勿論、裁判所から免責決定を得られる可能性も十分にあります。

このようにギャンブルをするために借金をした、ギャンブルをしたために生活費が足りなくなってこれを補填するために借金をした、という事情は、法律上、免責不許可事由とされています。これだけを見ると、ギャンブルで借金をした場合に自己破産しても免責決定は得られないのではないか、と考えられますが、このように免責不許可事由がある場合でも裁判所は、裁量により免責を認めることができる、とも法律は規定しているのです。したがって、ギャンブルで借金をした場合にも自己破産の申立てをし、免責を得ることはできます。

とはいえ、やはり免責不許可事由がある以上、これがない場合に比べ、厳しい判断がされる可能性があることは覚悟していただかなければなりません。免責不許可事由がある場合、手続に管財人が選任される場合が多いですし、自己破産の申立てをしなければならないような状況を招いてしまったことにつき十分な反省を求められることになります。自己破産の申立てをすることは借金に苦しむ人の権利ではありますが、反面、お金を貸した人に対し迷惑を掛けることにもなります。また、自己破産の申立てをした結果免責決定が受けられるのは、免責決定により経済的に立ち直ることが期待できるからです。そうである以上、免責決定を受けてからもそれまでと同じように生活し、ギャンブルをしたい、というのでは免責決定を受けられる根拠がなくなってしまうのです。


すべての財産を失うのでしょうか?

自己破産の申立てをするとすべての財産を失う、というイメージがなんとなくあります。確かに、破産手続は借金に苦しんでいる人のための手続という側面もありますが、お金を貸した人のための手続という側面もあります。理論的に考えれば、破産した人の財産をすべてお金にし、このお金の集まりを、お金を貸した人の貸した額に応じて平等・公平に分配をする、というのが破産手続です。そして、それでも残る借金に関して免責を与える、ということになります。

しかし、自己破産の申立てをする人も、ご飯が食べられなければ、いかに借金について免責決定を受けたとしても、その後生活をすることができなくなります。したがって、法律上または実際の運用において、この点について一定の配慮がされています。どのような配慮がされているかといえば、お金に換えて債権者に配当する財産は、裁判所毎に異なりますが、一定程度の金額の財産に限られています。東京地方裁判所の運用を例に説明すると、配当しなければならない財産は20万円以上の財産に限られています。ですので、20万円以上の金額にならない財産に関しては、手元に残しておくことができます。

20万円以上の財産かどうかということについては財産目録に記載する各項目ごとに考えられ、たとえば、解約すれば20万円以上の返戻金が戻ってくる保険と売却すれば20万円以上になる自動車があるという場合には、いずれも手放さなければならないことになります。また、預金については全預金口座の残高を合計した結果20万円以上になる場合には、配当に回されることになります。もっとも全預金口座の残高の合計が19万円あり、売却すれば15万円となる自動車があるということであれば、いずれについても手放さなくていいことになります。

これに対し、自己破産を申し立てたのが法人である場合、法人は破産することにより消滅することになります。したがって、法人名義の財産についてはすべて配当に回ることになります。


自由財産とは何ですか?

自由財産とは、その名のとおり、自己破産を申し立てた方が自由にしていい財産のことをいいます。これも自己破産の申立てをした人がその後生活をするのに必要以上の不自由がないようにするための配慮としての制度です。

たとえば、自己破産をするとすべての財産を失うのか、という質問にも関連しますが、自己破産の申立てをし、破産手続開始決定が出た後に得た財産、例えば破産手続開始決定が出た後に得た給料などについては自由財産となり、配当に回ることはありません。

他、大きなところで自由財産として定められているのは、現金についてです。自己破産をするとすべての財産を失うのか、という質問で、東京地方裁判所の場合、配当に回るのは20万円以上の財産に限られると回答しましたが、現金に関しては99万円までは自由財産になると法律上規定されています。したがって、現金に関しては99万円までであれば配当に回らないことになります。

しかし、ここが若干分かりにくいところですが、20万円以上の現金がある場合には破産手続費用、具体的にいえば管財人に対して支払わなければならない費用が出せるとの判断を裁判所はします。そのために、20万円以上の現金がある場合には、管財人が選任され、その費用として20万円を支出しなければならないことになります。とはいえ、99万円までは自由財産と定められているので、20万円しか持っていない人も、99万円持っている人も支出しなければならないのは等しく20万円ということになります。