よくあるご質問

過払金返還についてよくあるご質問を掲載しています。

過払金返還

グレーゾーン金利って何ですか?

金融機関からお金を借りる際、通常、利息を支払わなければならないことになります。しかし、この利息についてはどれだけ受け取ってもいい、というものではありません。金融機関が受け取ることのできる利息は、利息制限法という法律で決まっています。

この利息制限法によれば、貸し付けた金額が10万円までであれば20%、10万円以上100万円までであれば18%、100万円以上であれば15%までしか利息を取ることはできない、となっています。

このように、利息制限法によれば、最大でも20%の利息までしか金融機関は受け取ることができないのですが、この利息制限法には罰則が設けられていません。あまりにも高い利率でお金を貸し付けた場合の罰則が設けられているのは出資法という法律なのですが、この出資法で定められていた利率というのは利息制限法における上限利率の20%を上回るものでありました。

金融機関、特にサラ金やクレジットカード会社、商工ローン業者は、出資法で定められていた利率を下回ってさえいれば、20%を超える利率で貸し付けていたとしても罰せられることはないため、そのような利率で貸し付けることができたのです。また、要件を満たせば、年利20%を超えて貸付けを行い、実際にその利率で計算した金額を利息として受領としたとしても、過払金が発生しないという規定(これをみなし弁済規定、といいます。)もあったため、従前は、サラ金やクレジットカード会社、商工ローン業者は、出資法が定める利率は下回りながらも、年利20%を超える利率で貸付けを行っていたのです。

この出資法が定める利率よりは低いながらも年利20%を超える利率のことを、グレーゾーン金利といいます。

近年では、みなし弁済規定の適用に関しては厳格に解釈しなければならない、との立場を最高裁判所が取ったため、グレーゾーン金利での取引長期間を行い単純に計算すると過払金が発生している場合、金融機関にその返還義務が認められることが通常です。このように、過払金が発生するためには、グレーゾーン金利での取引を行うこと、その取引を長期間にわたり継続してきたことが一つの条件になる、といっていいと思います。

過払金が発生しているかどうか気になる方は、当事務所等弁護士に相談することをお勧めいたしますが、その際、必ず伺わなければならないことは、どの程度の利率でお金を借りていたか、ということと、どの程度の期間取引を行ってきたか、ということです。ご相談なさる前に、ご自身でこの点を確認されていると、相談はスムーズにいくかと思います。


過払金はいつ返ってきますか?

これはなかなか一概に言うことが難しい問題です。
過払金返還のみの依頼を含め債務整理のご依頼をいただき、金融機関から取引履歴の開示を得て、結論として過払金が発生していることが判明した場合には、一両日中に当該金融機関に対し請求書を送ります。これに対し、金融機関より連絡がある場合と連絡がない場合とがあります。1か月ないし2か月待っても金融機関から連絡がない場合には、訴訟を提起することになります。

連絡があった場合にはそこから和解交渉を行うことになりますが、訴訟を行っている場合と比較して、金融機関は強気の和解交渉に出てくることが多いです。強気の和解交渉というのは、金額的にも返還時期の問題についても、訴訟を提起した上で和解交渉を行う場合に比較して条件が悪くなる、ということです。これは、訴訟を起こされなければ、金融機関としてみれば、差押えをされるなどといった不利益がないことに基づくものと考えられます。このように訴訟を提起せずに和解する場合は、所謂大手の金融機関が相手である場合も、和解した日から半年程度先じゃなければ返還しない、などと言ってくることもままあります。

訴訟を提起した場合、金融機関によっては、第1回期日前に連絡をしてくることがあります。この第1回期日前の段階で和解交渉を行い和解する、ということもありますが、こちらの方が、和解した日から実際に過払金が返還されるまでの期間が短いという傾向があるように思います。概ね、和解日から2か月ないし3か月、といったところになることが多いかと思います。

実際に訴訟が進行していくと、当然金融機関の側も様々自身にとって有利な判決になるような主張を行ってくることになります。勿論、裁判所から和解するように勧められ、和解交渉も行われますが、それぞれが主張する金額に開きがあるような場合には、この部分を詰めていくという作業が必要になってきます。このように、金額的に折り合いをつけるという時間が必要になりますが、最終的に折り合った場合には、やはり和解した日から2か月ないし3か月で返還されるということが一番多いように思われます。

結局和解交渉では折り合いがつかず判決となった場合には、判決で言い渡された金額を請求することになります。この場合、金融機関によってはそれこそ請求した日から1か月もせずに返還してくることもあります。もっとも、経営状態が悪いような金融機関の場合、過払金債務が嵩んでしまっているような金融機関の場合には、判決で言い渡された金額の請求をした後でも、これを支払うことができない、ということで和解交渉が行われることがあります。

このように金融機関によって、返還時期はまちまちとしか言いようがありません。一つ言えることがあれば、大手の金融機関に対する過払金であれば、期間は掛かったとしても、ある程度の金額は返還を受けられる可能性が高いということだと思います。


過払金に時効はありますか?

一般的に、債権は一定の期間請求せずに放置しておくと、これを請求するができなくなります。これを法律上、消滅時効と言います。お金を貸した場合や、物を売った場合、貸金債権、売買代金債権といった債権が発生することになりますが、これも一定期間行使しなければ時効により消滅してしまうのです。

こうした債権の消滅時効期間は、原則として10年と定められています。過払金も、その返還を受けるまでの期間は、金融機関に対する債権として存在しているので、同様に10年間で時効により消滅します。

問題はいつから10年間か、というところでして、この点、金融機関と消費者側で相当争われた時期がありますが、平成24年12月時点においては、金融機関と借主との最後の取引の日から10年、と考えられています。もっとも、この点について金融機関によっては、未だに裁判上争ってくることがあります。


同じサラ金との間でいくつかの取引をしていたけれど、その際の過払金の計算方法は?

サラ金のみならず、カード会社などでもいくつかのカードを作り、それぞれのカードで借金をしていたというお客様は時々いらっしゃいます。そのような際の過払金の計算方法についてですが、これは原則として、各取引の取引経過毎に過払金を計算していくことになります。すべての取引における取引経過を1個の物として計算して過払金を算出しても、その過払金額を金融機関に対し返還するよう命じる判決が出ることはまずありません。

具体的にいえば、A会社でBというカードとCというカードを作った上、それぞれのカードで借金をしたとします。Bというカードでは平成10年1月から平成23年5月まで、Cというカードでは平成13年4月から平成24年9月まで取引をしたとします。Bカードでの取引経過を利息制限法に従い再計算すると30万円の過払金が、Cカードでの取引経過を利息制限法に従い再計算すると50万円の過払金が発生していますが、Bカード・Cカードの取引経過を全部ごちゃまぜにして利息制限法に従い再計算すると100万円の過払金が発生するような場合、この100万円を返還するよう求め裁判を起こしてもそのような判決が出ることは原則としてありません。判決において認められるのは、過払金として認められるのはBカードでの取引経過を利息制限法に従い再計算すると発生することになる30万円と、Cカードでの取引経過を利息制限法に従い再計算すると発生することになる50万円の計80万円である、ということです。

もっとも、Bカードで平成10年1月から平成18年3月まで取引を行い、このBカードでは取引できなくなったところ、そのBカードを発行している金融機関からの勧めで借入条件の異なるCカードを作り、そのCカードでの借入金をもってBカードの借金を全額返済し、以降Cカードで平成18年3月から平成24年3月まで取引を行ったというような場合には、例外的にBカードでの取引経過とCカードでの取引経過を一連の物として利息制限法に従い再計算を行うことが裁判においても認められることがあります。

このように過払金を計算するには原則として各取引における取引経過毎に利息制限法に従い再計算を行わなければなりませんが、例外的に異なる取引の取引経過をいっしょくたにして計算することができる場合があります。取引履歴の開示を受けたはいいがどのように計算すればいいかよく分からない、といったような場合は、当事務所にご遠慮なくご相談ください。また、過払金返還のご依頼をされたい、といった場合には、どのように計算するのがご依頼者様にとって一番有利であるかを検討するために、どのような経緯での借入を行ってきたか、詳しくご事情を聴かなければなりません。取引当時の詳しい事情を思い出すことが難しいということは承知しておりますが、ご相談にお越しいただく前にできうる限りのことを思い出していただければご相談はスムーズに進むかと思います。


過払金には利息がつくと聞いたけれども本当ですか?

過払金には利息がつくことがあります。払いすぎた利息が過払金として帰ってくるのは、本来受け取ることのできない金額を利息として金融機関が受け取ったことが、民法の規定する債権の発生原因の1つである「不当利得」に該当するためです。この不当利得は民法第703条に規定されていますが、その次の条文である民法第704条では、不当利得により債権が発生したことについて悪意であった場合には、利得した金額に利息を付加して返還しなければならない、と規定されています。ここでいう「悪意」とは日常使う悪意という言葉の意味ではなく、「知っていた」という意味です。したがって、金融機関が、借主との取引をした結果過払金が発生していることを知っていた場合、その金融機関は過払金に利息を付加して返還しなければならない、ということになります。

とすると、金融機関は貸出利率が利息制限法の上限利率を超過していたことは分かっているし、借主との取引経過をちゃんと把握しているといったことからして、過払金が発生していた場合、金融機関は常に悪意である、つまり過払金に利息を付加して返還しなければならないとも考えられます。しかし、事はそこまで簡単にいきません。以前、このように利息制限法を超過する利率で計算された金額を利息として受け取ったとしても、過払金にはならないとする法律が存在したためです。勿論、どんな場合であったとしても過払金にならない、などとするわけではなく、貸付けや返済の際に金融機関が渡さなければならない書面に法律上記載が求められている事項がきちんと記載されていることが必要になります。

金融機関は、貸付けや返済の際に法律が求める通りの書面を借主に渡していたから、利息制限法を超過する利率で計算された金額を利息として受け取ったとしても過払金にはならないとする法律が適用されると思っていた、したがって過払金が発生していることは知らなかった、と争ってくることになります。このような金融機関の主張に対してはきちんとした反論をしなければなりません。したがって、裁判が長期化することはままあります。過払金に利息を付加しなければならない、ということになれば、金融機関はお金を貸し出したために損をしてしまった、などということになる場合もあるので、この点に関する争いは激化する傾向にあります。

ご自身で過払金返還訴訟を提起した際も、金融機関はこのような主張をしてくることが通常です。
なお、付加される利息は民法上年5%であると規定されています。